コースの偏りは実在するか — 内枠・外枠の実測値
- 枠の偏りは実在するが、場所は限られる。新潟千直は外が内の4倍超
- 中山芝1600は内側1/3が外側の2倍前後。表に載らない大多数のコースでは差は小さい
- 同じコースでも開幕週と開催後半で振れる。固定の性格ではなく「内に振れやすい素性」として持つ
実測でいちばん偏っていたコース
馬番を出走頭数で割った相対位置で、内側1/3・真ん中1/3・外側1/3の3グループに分け、それぞれの勝率を比べました。差が大きかったコースを並べます。
| コース | 内側1/3の勝率 | 外側1/3の勝率 | 対象頭数 |
|---|---|---|---|
| 新潟芝1000m(千直) | 2.8% | 11.7% | 1,498 |
| 札幌ダート1000m | 5.6% | 12.9% | 804 |
| 中山ダート2400m | 5.1% | 10.5% | 491 |
| 京都芝1200m | 5.0% | 8.6% | 722 |
| 阪神芝1400m | 9.6% | 4.5% | 1,849 |
| 中山芝1200m | 9.9% | 4.8% | 1,966 |
| 中山芝1600m | 8.8% | 4.5% | 3,610 |
| 福島芝1200m | 9.5% | 5.5% | 2,789 |
| 中京芝2000m | 10.2% | 6.2% | 2,993 |
新潟千直の外は4倍、中山の内は2倍
表の上4つは外枠有利、下5つは内枠有利です。いちばん極端なのは新潟の直線1000m(千直)で、外側1/3の勝率が内側の4倍を超えます。日本で唯一コーナーのないコースで、外ラチ沿いを走る形が定番になっており、実測もそれを裏付けました。
内枠側の代表は中山です。芝1200・1600とも内側1/3が外側の2倍前後勝っています。「圧倒的に有利」と言葉で盛らなくても、この数字だけで十分に偏っています。
裏を返すと、この表に載らなかった大多数のコースでは、枠の偏りは大きくありません。「内枠有利」を全レースに当てはめるのは、偏っていないコースで存在しない差を読むことになります。
偏りが生まれる物理
内枠有利の主因は、コーナーで外を回る距離のロスです。直線が短いコースほど直線で取り返す余地がなく、内の利がそのまま残ります。芝の直線が310mしかない中山に内有利が並ぶのは、この構図です。
外枠有利には別の力学が働きます。ダートの短距離は、スタート直後に砂を被らず先行したい事情から外枠が走りやすい。芝スタートのダート(東京ダート1600mなど)は、芝の部分を長く走れる外枠が加速で得をします。
また小倉・函館・福島・新潟・中京の5場は、コーナーの半径が入口では大きく出口へ向かって小さくなる「スパイラルカーブ」を採用しています。
偏りは「固定」ではない
同じコースでも、開催が進むと内の芝が傷みます。開幕週の内有利が、開催後半には外差し有利に反転するのはよくある流れです。雨で渋った芝も内有利を消しやすい。
上の表は4年分の平均です(京都だけは2023年春の改修明け以降の集計)。「このコースは内」と固定的に覚えるのではなく、「内に振れやすい素性がある」まで。その週にどちらへ振れているかは、当日の他レースの決まり方が教えてくれます。
- 開幕週内有利が出やすい
- 開催が進む内の芝が傷む
- 開催後半外差し有利に反転
主要4場の性格
枠以外の面も含め、覚えておくと役に立つ各場の骨格です(コース諸元はJRA公式)。
東京は芝の直線が約525mと長く、広い。紛れが少なく、後方からも届きます。中山は対照的に直線310m、ゴール前に高低差2.2mの急坂。コース全体の高低差5.3mはJRA最大で、前で運べるパワー型に向いた舞台です。
京都は内回りと外回りで直線が約75m違い(328.4mと403.7m)、3コーナーの坂を下ってから平坦な直線に入ります。京都のレースはまず内か外かの確認から。新潟は外回りの直線658.7mがJRA最長で、千直も含めてスピードの持続力が問われます。
メタ読みカードとの関係
枠順は「効く会場×距離」が限られる指標です。重賞カードの63項目にも枠の条件が入っていて、差が出ているレースでは◎や▽のゾーンに現れ、差のないレースでは表示されません。一律の「内枠有利」ではなく、そのレースで数字が出ているかどうかをカードで確かめてください。
- 枠を評価する前に、そのコースが実測で偏る側かを先に確かめる
- 開幕週か開催後半かと、当日の他レースの決まり方で振れを補正
- 枠が効くレースかはメタ読みカードで確認し、差が出ていなければ枠は材料から外す