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日本競馬の血統史 — 三大始祖からイクイノックスまで

いま日本で走っているサラブレッドの父系をさかのぼると、9割以上がたった1頭の馬に行き着きます。300年におよぶ血統の物語を、日本競馬の視点で駆け足でたどります。予想に効くかどうかはいったん脇に置いて、純粋な読み物としてどうぞ。
30秒でわかる
  • 現存する父系の9割以上がダーレーアラビアン系。血統表の一番上をたどる遊びは、ほぼ一本道
  • 日本の主役はサンデー→ディープ→ドゥラメンテと移り、2023年に父内国産馬が初の首位に立った
  • 予想に使えるかどうかはここでは扱わず、300年の物語だけを追う読み物

始まりは3頭

サラブレッドの父系はすべて、17〜18世紀にイギリスへ持ち込まれた3頭——ダーレーアラビアン、ゴドルフィンアラビアン、バイアリータークにさかのぼります。いわゆる三大始祖です。

ただし勢力はまったく対等ではありません。現存する父系の9割以上がダーレーアラビアン系(JRA)。一説には世界の約98%、日本では約99.9%がこの系統です。ダーレー系の中興の祖が18世紀の無敗馬エクリプス。血統表の一番上をたどる遊びは、実はほぼ一本道です。

1990年、16.5億円の賭け

日本の血統地図を塗り替えたのが、1990年に社台グループが約16.5億円で輸入したサンデーサイレンスでした。アメリカで年度代表馬になった実力馬ですが、血統が非主流(Halo系)だったため、現地での種牡馬としての引き合いは薄かった——そこを買った形です。

結果は歴史が知る通り。1995年から2007年まで13年連続リーディングサイアー(歴代最長)。ディープインパクト、ステイゴールド、ハーツクライ、ダイワメジャー。2000年代以降の日本競馬は、サンデーの子と孫の時代になりました。

ディープの11年と、2023年の交代劇

ディープインパクトは2005年に無敗で三冠を制し、種牡馬としても2012年から2022年まで11年連続で首位。2019年に亡くなった後も、残された産駒が首位を守り続けました。産駒のコントレイルは2020年に無敗三冠——父子での無敗三冠は史上唯一です。

そして2023年、リーディングの首位はドゥラメンテに移りました。父も内国産種牡馬である「父内国産馬」の首位は史上初。サンデー直系からキングカメハメハ系への交代でもあり、ひとつの時代の区切りでした。

父のリーディングは、サンデーとディープが長く占め続けた
サンデー13年
ディープ11年(2012〜2022年)
リーディングサイアーの連続首位年数。2023年に首位はドゥラメンテへ移り、父内国産馬として史上初の首位となった。 サンデー=1995〜2007年・歴代最長。

母の父にも、同じ物語がある

母の父(BMS)のランキングにも交代劇があります。ノーザンテースト→サンデーサイレンス(2006〜2019年の14年連続)→キングカメハメハ(2020〜2022年)→2023年にディープインパクトが初首位。父として君臨した馬が、時を置いて母の父として戻ってくる構図です。

配合の妙で語り継がれるのが、ステイゴールド×母父メジロマックイーン。この組み合わせからオルフェーヴル(2011年三冠)とゴールドシップが出て、「黄金配合」と呼ばれました。

母の父(BMS)の首位も、同じ顔ぶれが順に入れ替わっている
  1. ノーザンテーストサンデー以前の首位
  2. サンデー2006〜2019年(14年連続)
  3. キングカメハメハ2020〜2022年
  4. ディープ2023年に初首位
母の父(BMS)リーディングの推移。年は本文に記載のあるもののみ。父として君臨した馬が、時を置いて母の父として戻ってくる。

いまの勢力図

キングカメハメハ系では、ロードカナロアがアーモンドアイ(GⅠ9勝)を、ドゥラメンテがリバティアイランド(2023年牝馬三冠)やタイトルホルダーを出しています。

サンデー系の孫世代も負けていません。キタサンブラックの産駒イクイノックスは、親仔2年連続の年度代表馬という史上初の記録を作りました。父系はロベルト系ながら母系にサンデーの血を引くエピファネイアからは、史上初の無敗牝馬三冠デアリングタクト。ダートに目を移せば、サンデー直仔のダート王ゴールドアリュールの系譜と、ヘニーヒューズやドレフォンら米国系が並びます。

血統の物語としてはここまで。「で、予想に使えるのか」という続きは、別の記事で正直に検証しています。

種牡馬系統代表産駒記事で触れた記録
ロードカナロアキングカメハメハ系アーモンドアイGⅠ9勝
ドゥラメンテキングカメハメハ系リバティアイランド/タイトルホルダーリバティアイランドが2023年牝馬三冠
キタサンブラックサンデー系(孫世代)イクイノックス親仔2年連続の年度代表馬(史上初)
エピファネイアロベルト系(母の父がサンデー系)デアリングタクト史上初の無敗牝馬三冠
この記事の持ち帰り
  • 血統表をたどるなら、見るのは一番上ではなく父と母の父の2か所
  • 「サンデー系」と言われたら、直仔か孫世代かまで確かめる
  • 血統の話に納得したときほど、それが予想の根拠になっているかは切り分ける
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