エリザベス女王杯の出走条件 — 旧府中牝馬S=アイルランドトロフィー1着
- 登録18頭超は6回でも18頭立ては4回。2024年は登録19番目のラヴェルが繰り上がって2着
- 前哨戦を勝って登録した7頭は、権利を除いても賞金の並びで18番以内。この10年、権利が出走の可否を分けた例は見当たらない
- アイルランドトロフィー組は出走馬169頭中52頭、3着内30頭中12頭。3着内率は23%で、全体の18%を少し上回る程度
2026年のエリザベス女王杯 — 条件と枠の埋まり方
第51回となる2026年のエリザベス女王杯は、11月15日(日)の5回京都4日目、芝2200mの右・外回りで行われます。出走できるのは3歳以上の牝馬(未出走馬・未勝利馬を除く)。負担重量は3歳54kg・4歳以上56kgの定量で、2016年から同じ数字です。フルゲートは18頭で、1着本賞金は2025年の1億3,000万円から1億5,000万円に増えました。
申し込みが18頭を超えたときの枠の埋まり方は下の表のとおりです。2026年度に変わったのは①の頭数で、2025年度までレーティングの枠は上位5頭でした。②の優先出走権はアイルランドトロフィーの1着だけです。前哨戦の勝ち馬1頭に権利が付く形は、JRAの説明では2014年から続いています。全G1の順番の違いは総合記事で一覧にしています。
| 順番 | 入る馬 | 2026年の条件 |
|---|---|---|
| ① | レーティング上位10頭 | 出馬投票した馬のうち上位10頭。106以上に限る(2025年までは上位5頭) |
| ② | アイルランドトロフィーの1着馬 | 同じ年度のエリザベス女王杯に限る。2026年は10月11日の第2回 |
| ③ | 外国馬 | 国際競走のため優先。特別登録は11月12日の1回(30万円) |
| ④ | 地方所属馬 | 京都大賞典・アイルランドトロフィーの2着以内、約1年内の中央の芝GⅠ・外国G1の1着 |
| ⑤ | 出走馬決定賞金の多い順 | オープン馬が先で、3勝クラス以下の馬はその後ろ。同じ額で境目に並べば抽選 |
賞金順の中身と、特別登録で18頭を超えた年
賞金を数える期間と、秋華賞組の位置
2026年の期間は、1年側が2025年11月15日〜2026年11月11日、GⅠの2年側が2024年11月9日〜2026年11月11日です。前年のエリザベス女王杯は2025年11月16日だったので、そこで得た賞金も1年側に収まります。
額の前にクラスで分けるので、オープン馬がすべて並んでから3勝クラス以下の馬が続きます。6月6日以降は、収得賞金のある3歳馬も4歳以上と同じ金額の基準でクラス分けされます(完全に同じ扱いになるのは9月19日以降)。秋華賞から来る3歳馬も、収得賞金が1,600万円以下ならオープンではなく3勝クラス以下の側です。2021年のステラリアは収得賞金1,600万円で、オープン馬14頭に続く15番目の位置から本番2着まで来ました。
特別登録で18頭を超えたのは10回中6回
JRAの出走馬決定順一覧で2016〜2025年の第1回特別登録を見ると、18頭を超えたのは2017・2019・2020・2022・2024・2025年の6回でした。最多の2022年は中央馬22頭と外国馬1頭でした。外国馬が先に1枠を取るため、この年の中央馬の境目は17番目(ライラック、4,100万円)です。中央馬の18〜20番目には、サンテローズ・シャムロックヒル・フィオリキアリが同じ3,300万円で並んでいました。上の馬が1頭だけ回避していれば、この3頭で1枠を争う抽選になっていた並びです。2019年と2020年はオープン馬だけで18頭に届かず、18番目に入ったのは3勝クラス相当の馬でした。
実際に18頭立てになったのは4回(2017・2019・2020・2022年)です。登録から出馬投票までに回避が出ると境目は下がり、2024年は19番目(2,000万円)のラヴェルが17頭立ての本番に出て2着。2025年に2着のパラディレーヌは、登録時点でちょうど18番目の3,300万円でした。
前哨戦アイルランドトロフィー — 旧府中牝馬Sの条件と名前
JRA所属馬にエリザベス女王杯の優先出走権が付くのは、本番5週前に東京の芝1800mで行われるアイルランドトロフィー(GⅡ)の1着だけです(地方所属馬は2着以内。地方馬の節を参照)。2026年は10月11日の第2回。レース名に「トライアル」は入っておらず、JRAの呼び方では前哨戦にあたります。
府中牝馬Sから2度の改称
2016年まではこの秋の一戦が府中牝馬ステークスで、2017年から日本とアイルランドの外交関係樹立60周年を記念した「アイルランドトロフィー府中牝馬ステークス」に。2025年には名前が「アイルランドトロフィー」だけになり、回次も第1回に戻りました。府中牝馬Sの名前は旧マーメイドSを改めた6月の東京芝1800mのGⅢハンデが引き継ぎ、2025年は第73回として行われています。こちらはJRAのエリザベス女王杯のページで主なステップに挙がっているものの、優先出走権は付きません。
| 項目 | エリザベス女王杯 | アイルランドトロフィー |
|---|---|---|
| 2026年の日付 | 11月15日(日) | 10月11日(日) |
| コース | 京都 芝2200m(右・外) | 東京 芝1800m(左) |
| 格 | GⅠ(第51回) | GⅡ(第2回) |
| 出走資格 | 牝馬・3歳以上(未出走・未勝利馬を除く) | 同じ |
| 負担重量 | 定量 3歳54kg・4歳以上56kg | 別定 3歳53kg・4歳以上55kg。2025年10月11日以降のGⅠ1着2kg増・GⅡ1着1kg増、それより前のGⅠ1着1kg増 |
| フルゲート | 18頭 | 18頭 |
| 1着本賞金 | 1億5,000万円 | 5,500万円 |
| 特別登録(中央馬) | 11月1日・11月12日 | 10月4日・10月8日 |
| エリザベス女王杯の権利 | — | 1着(地方馬は2着以内) |
アイルランドトロフィーに出るには
アイルランドトロフィーにはレーティングの枠がありません。18頭を超えたら外国馬と芝実績のある地方所属馬が先に入り、残りはクラス順、同じクラスの中は出走馬決定賞金の順です。前走の着順は順位に関係しません。2026年の賞金を数える期間は、1年側が2025年10月11日〜2026年10月7日、2年側が2024年10月5日〜2026年10月7日です。
牝馬限定のGⅠ勝ちも増量の対象
別定の増量は、エリザベス女王杯やオークスのような牝馬限定GⅠの勝ち馬にもかかります。2025年11月のエリザベス女王杯を勝った馬がここを使えば、4歳以上の55kgに2kgを足して57kg。2026年の桜花賞やオークスを勝った3歳馬は55kgで出ることになります。
18頭立ては10回で1度
2016〜2025年の10回で18頭がそろったのは2021年だけで、平均は13.8頭、2020年は8頭立てでした。同じ10年の出走馬138頭では、前走がGⅢだった馬が72頭(52%)で最も多く、前走が3勝クラス(2016〜2018年は1600万下)の競走だった馬も19頭(14%)います。
| 前哨戦 | 出走頭数 | 出走馬の前走 |
|---|---|---|
| アイルランドT(旧府中牝馬S) | 平均13.8頭(2016〜2025年の10回・最多18頭) | 重賞75%・OP9%・条件戦14%・地方/海外1% |
【データ】出走馬169頭と3着内30頭の前走
過去10回(2016〜2025年)の出走馬169頭は、直前のレースで見ると6つの道に分かれます(当サイト集計)。権利の有無は2026年の規定に当てはめた判定ですが、JRA所属馬の権利はこの10年ずっと前哨戦の1着だけで、変わったのはレース名です。
出走馬169頭の中で大きいのは、アイルランドトロフィー組(権利あり6頭・権利なし46頭)と、それ以外の重賞から来た組で、どちらも52頭(各31%)。3着内は前者が12頭、後者が8頭で、率にすると23%と15%です。3着内30頭の内訳では権利なしの前哨戦組が9頭(30%)と最も多いものの、出走馬169頭に占める割合も46頭(27%)あり、差は小さめでした。
前走G1級は27頭のうち22頭が秋華賞組で、27頭全体では8頭(30%)が3着内です。権利を持って出た6頭は3頭(50%)が3着内に入っていますが、母数が6頭なので1頭の増減で率が大きく動きます。前走が3勝クラスだった15頭は3着内がなく、出走馬全体では169頭中30頭の18%が3着内でした。前走を勝っていた馬は、10年の3着内30頭の23%、出走馬169頭の22%で、割合はほぼ同じです。
- 前哨戦で優先出走権を取ったアイルランドT(旧府中牝馬S)1着6頭3%
- 前哨戦から(権利なし)権利の着順に届かず、賞金などで出走46頭27%
- 前走G1級海外・地方のG1・JpnIを含む27頭16%
- その他の重賞から52頭31%
- リステッド・オープン特別から23頭14%
- 条件戦から1勝〜3勝クラス・新馬・未勝利15頭9%
- 前哨戦で優先出走権を取ったアイルランドT(旧府中牝馬S)1着3頭10%
- 前哨戦から(権利なし)権利の着順に届かず、賞金などで出走9頭30%
- 前走G1級海外・地方のG1・JpnIを含む8頭27%
- その他の重賞から8頭27%
- リステッド・オープン特別から2頭6%
前哨戦で何着だった馬が来たか — 秋華賞組との比較
アイルランドトロフィー(旧府中牝馬S)から来た3着内12頭を前哨戦の着順で分けると、1着と5着が3頭ずつ、2着と7着が2頭ずつ、3着と4着が1頭ずつでした。クロコスミアは2018・2019年と続けて前哨戦5着から本番2着、2021年のアカイイトは7着から本番を勝っています。
前哨戦の勝ち馬は賞金順でも18番以内
特別登録時点の一覧で「GⅠ等優先」と表示された馬は、2016・2017・2019・2020・2022・2023・2025年の7頭です。このうち2025年のラヴァンダは登録だけで本番には出ておらず、権利を持って実際に出走したのは6頭です。2018・2021・2024年は前哨戦の勝ち馬が本番に登録しませんでした。7頭とも、権利を除いても賞金の並びで18番以内に入っており、登録時点の並びを見る限り、この10年に権利が出走の可否を分けた例は見つかりません。
秋華賞組は22頭で3着内5頭
前哨戦の次に多い道は、2026年なら本番4週前にあたる秋華賞です。2016〜2025年に22頭が出て、3着内は5頭(23%)。2017年のモズカッチャンが秋華賞3着から勝ち、2025年のパラディレーヌも3着から2着に入りました。2022年は秋華賞10着のライラックが、札幌記念から来たウインマリリンと2着同着です。秋華賞の着順に優先出走権は付かないため、22頭はすべて権利なしで出ています。
| 前哨戦・権利の着順 | 2016〜2025年の本番に出走(うち権利あり) | 3着内(うち権利あり) |
|---|---|---|
| アイルランドT(旧府中牝馬S)・1着 | 52(6) | 12(3) |
勝ち馬10頭の前走と、阪神で行われた3年
2016〜2025年の勝ち馬10頭で、前哨戦を勝って権利を持っていたのは2016年のクイーンズリングだけです。前哨戦で敗れてから勝った馬が3頭(2018年リスグラシュー2着、2019年ラッキーライラック3着、2021年アカイイト7着)、秋華賞からが2017年のモズカッチャン。残る5頭は前哨戦以外の重賞組で、2022年のジェラルディーナと2025年のレガレイラはどちらもオールカマーの勝ち馬でした。
間隔の空け方もさまざまで、2024年のスタニングローズは札幌のクイーンS(6着)から105日、2020年のラッキーライラックは札幌記念から84日ぶりに勝っています。2023年のブレイディヴェーグは3歳で、ローズS2着のあと秋華賞を使わずに本番へ向かいました。
2020〜2022年は阪神
この10年のうち2020〜2022年の3回は、阪神の芝2200m(内回り)で行われました。それ以外の年は京都の芝2200m外回りで、施行日はいずれも11月10〜16日の日曜です。
| 年 | 勝ち馬 | 前走 | 前走の着順 |
|---|---|---|---|
| 2016年 | クイーンズリング | アイルランドT(旧府中牝馬S) | 1着 |
| 2017年 | モズカッチャン | 秋華賞 | 3着 |
| 2018年 | リスグラシュー | アイルランドT(旧府中牝馬S) | 2着 |
| 2019年 | ラッキーライラック | アイルランドT(旧府中牝馬S) | 3着 |
| 2020年 | ラッキーライラック | 札幌記念 | 3着 |
| 2021年 | アカイイト | アイルランドT(旧府中牝馬S) | 7着 |
| 2022年 | ジェラルディーナ | オールカマー | 1着 |
| 2023年 | ブレイディヴェーグ | ローズS | 2着 |
| 2024年 | スタニングローズ | クイーンS | 6着 |
| 2025年 | レガレイラ | オールカマー | 1着 |
地方所属馬・外国馬の出走ルート
エリザベス女王杯は国際・指定の競走で、地方所属馬も外国調教馬も出られます。2026年度に地方所属馬が優先されるのは、同じ年度の京都大賞典かアイルランドトロフィーで2着以内に入った馬と、約1年の期間内に中央の芝GⅠか外国のG1を勝った馬です。同じ期間に芝GⅠ・外国G1で2着だった馬は、出走の申し込みはできても優先にはなりません。地方所属馬の本番への申込締切は10月27日です。
京都大賞典(GⅡ、2026年は10月4日・京都芝2400m外回り)は牡馬も出る3歳以上の別定戦で、牝馬は2kg減。JRA所属馬がここを勝った場合に付くのは天皇賞(秋)の権利です。地方所属馬がステップ競走に申し込めるのは、芝の中央重賞2着以内などの実績を持つ芝実績馬か、収得賞金1,600万円を超える馬で、締切は9月16日です。
外国馬と、出られない馬
外国調教馬の枠は、レーティング上位馬と前哨戦の勝ち馬の次です。特別登録は11月12日の1回(30万円)で、ファン投票や招待の仕組みはありません。2010年のスノーフェアリーが外国馬として初めて勝ち、2022年には愛オークスを勝った3歳のマジカルラグーンが54kgで出走しました。牝馬限定の競走なので、牡馬とせん馬には出走資格がありません。
よくある質問
エリザベス女王杯は毎年18頭そろいますか?
そろわない年のほうが多く、2016〜2025年の18頭立ては4回、残る6回は15〜17頭立てでした。登録頭数と境目の額は、賞金順の節で年ごとに挙げています。
府中牝馬Sを勝つと優先出走権がもらえますか?
いまの府中牝馬Sには権利が付きません。「府中牝馬S1着で優先出走」と書かれた古い記事は、2024年までの秋の一戦のことで、その役目はいま10月のアイルランドトロフィーが担っています。記事の日付が2024年以前なら、府中牝馬Sをアイルランドトロフィーと読み替えてください。
3歳馬も出られますか? 斤量は何キロですか?
出られます。3歳は54kg、4歳以上は56kgの定量です。3歳以上の牝馬による競走になったのは1996年で、それまでは3歳牝馬の三冠の最終戦として2400mで行われていました。その役目は、新設された秋華賞が受け継いでいます。
秋華賞で負けた馬でも出られますか?
出られます。秋華賞の着順は優先出走権と無関係なので、レーティング上位10頭に入るか、優先出走の馬(前哨戦の勝ち馬・外国馬・地方馬)が入ったあとの残りの枠に、出走馬決定賞金の並びで入れば出られます。秋華賞組の過去の成績は、前哨戦の着順を扱った節にあります。
- JRA所属馬の権利はアイルランドトロフィーの1着だけ。京都大賞典と秋華賞の着順ではエリザベス女王杯の権利は取れない(地方馬は京都大賞典の2着まで対象)
- いまの「府中牝馬S」は6月のGⅢハンデで、権利は付かない。秋の前哨戦は「アイルランドトロフィー」に名前が変わっている
- 「3着内はアイルランドトロフィー組が最多」と見たら、出走馬の約3割がこの組だという分母と並べて読む