ヴィクトリアマイルの出走条件 — 前哨戦1着と18頭立て10回中5回
- 福島牝馬Sの勝ち馬は2016〜2026年の11年で6頭が本番に登録せず。権利を持って出た15頭のうち10頭は阪神牝馬Sの勝ち馬
- 2016〜2025年の10回で18頭がそろったのは5回。2023〜2025年は15〜17頭立て。2026年は18頭がそろった(JRA発表)
- 阪神牝馬S組は出走馬171頭中68頭、3着内30頭中12頭で、どちらも約4割。権利を持って出た15頭の3着内は2頭(13%)
ヴィクトリアマイルの条件と、18頭の枠が埋まる順番
2026年のヴィクトリアマイルは第21回で、5月17日に東京の芝1600m(左回り)で行われました。出走できるのは4歳以上の牝馬で、未出走馬と未勝利馬は除かれます。負担重量は定量の56kgで、古馬重賞の基礎重量が1kg上がった2023年より前は55kgでした。フルゲートは18頭。1着本賞金は2017年の9,300万円から段階的に上がり、2026年は1億5,000万円になっています。
優先の枠が付く前哨戦は、牝馬限定の阪神牝馬Sと福島牝馬Sの2つだけです。出馬投票が18頭を超えると、まずレーティング上位10頭(2025年までは5頭)が入り、この2レースを同じ年度に勝った馬、外国馬、地方所属馬と続きます。残った枠は出走馬決定賞金の多い馬から順に割り当てられます。24レースの並びを比べた表は総合記事にまとめています。
| 順番 | 入る馬 | 条件(2026年) |
|---|---|---|
| ① | レーティング上位10頭 | 出馬投票した馬のうち上位10頭。レーティング106以上に限る(2025年までは上位5頭) |
| ② | 阪神牝馬S・福島牝馬Sの1着馬 | 同じ年度のヴィクトリアマイルに限る。出走馬決定順一覧では「GⅠ等優先」と表示 |
| ③ | 外国馬 | 国際競走のため優先 |
| ④ | 地方所属馬 | 阪神牝馬S・福島牝馬Sの2着以内、約1年内の中央の芝GⅠ・外国G1の1着など |
| ⑤ | 出走馬決定賞金の多い順 | オープン馬が先で、3勝クラス以下の馬はその後ろ。同じ額で境目に並んだら抽選 |
レーティング枠と賞金順 — 18頭の境目
2026年のレーティング上位10頭
2026年の順位は5月4日に発表され、106以上の日本馬は18頭、1位はエンブロイダリーの115でした。上位10頭には賞金順15番目のジョスランと16番目のワイドラトゥール(ともに109)も入りましたが、2頭とも賞金順で18番以内にいたため、10頭への拡大は2026年の顔ぶれを変えていません。
出走馬決定賞金の中身
権利もレーティングの枠もない馬は、収得賞金に直近約1年の算入額と約2年のGⅠでの獲得額を足した出走馬決定賞金で並び、オープン馬でない馬は額が多くても後ろに回ります。2026年はこの並びの19番目がサフィラ(4,350万円)で、サフィラと20番目のチェルビアットは18頭の枠に届かず出走できませんでした。
特別登録は11回中8回が18頭超
JRAが公表する出走馬決定順一覧で2016〜2026年の特別登録を見ると、11回のうち8回が18頭を超えていました。最多は2016年と2025年の23頭で、18番目の馬の出走馬決定賞金は2025年が4,250万円、2026年が5,600万円でした。どれも出馬投票の前の並びで、上の馬が回避すれば境目は下がります。
本番が18頭立てだったのは、2016〜2025年の10回のうち5回(2016・2018・2019・2021・2022年)です。登録が19頭以上あった年でも、2023年は16頭立てでした。2020年と2025年は出馬表が18頭で埋まりましたが、出走取消(2020年2頭、2025年1頭)で16頭・17頭立てになっています。2026年は一覧の上位18頭がそのまま出走しています。
前哨戦の阪神牝馬S・福島牝馬S — 2026年の条件
JRA所属馬に優先出走権が付くのは、4月に行われる阪神牝馬S(GⅡ)と福島牝馬S(GⅢ)の1着だけです(地方所属馬は2着以内)。どちらも4歳以上の牝馬限定戦で、2026年は阪神牝馬Sが本番の5週前の土曜、福島牝馬Sが4週前の日曜でした。
阪神牝馬Sは1958年創設の重賞で、2006年のヴィクトリアマイル新設に合わせてステップレースとして4月へ移り、4歳以上の牝馬限定になりました。2016年からは本番と同じ1600m(外回り)です。福島牝馬Sは2004年に創設され、2014年から勝ち馬に本番の優先出走権が付いています。
重賞を勝っている馬は福島のほうが重くなる
負担重量はどちらも55kgの別定ですが、増える条件が違います。阪神牝馬SではGⅢを勝っていても重量は変わらず、増えるのはGⅠ・GⅡの勝ち馬だけです。福島牝馬Sは2025年4月19日以降にGⅢを勝った馬も1kg増え、同じ期間のGⅠ勝ちなら3kg増になります。フルゲートも阪神牝馬Sが18頭、福島牝馬Sが16頭と差があります。
| 項目 | ヴィクトリアマイル | 阪神牝馬S | 福島牝馬S |
|---|---|---|---|
| 2026年の日付 | 5月17日(日) | 4月11日(土) | 4月19日(日) |
| コース | 東京 芝1600m(左) | 阪神 芝1600m(右・外) | 福島 芝1800m(右) |
| 格 | GⅠ | GⅡ | GⅢ |
| 出走資格 | 牝馬・4歳以上(未出走・未勝利馬を除く) | 同じ | 同じ |
| 負担重量 | 定量 56kg | 別定 55kg。2025年4月12日以降のGⅠ1着2kg増・GⅡ1着1kg増、それより前のGⅠ1着1kg増 | 別定 55kg。2025年4月19日以降のGⅠ1着3kg増・GⅡ1着2kg増・GⅢ1着1kg増、それより前のGⅠ1着2kg増・GⅡ1着1kg増 |
| フルゲート | 18頭 | 18頭 | 16頭 |
| 1着本賞金 | 1億5,000万円 | 5,500万円 | 4,000万円 |
| 特別登録(中央馬) | 5月3日・5月14日 | 4月5日・4月9日 | 4月12日・4月16日 |
| ヴィクトリアマイルの権利 | — | 1着(地方馬は2着以内) | 1着(地方馬は2着以内) |
前哨戦の出走馬はどう決まるか
阪神牝馬Sと福島牝馬Sには、そのレースだけの選び方の定めがありません。頭数を超えたときは一般の重賞と同じ手順で、外国馬と、芝での実績を満たした地方所属馬が先に入ります。残りはオープン馬を全頭並べ、その後ろに3勝クラス以下の馬が続き、同じクラスの中は出走馬決定賞金の多い順です。本番にあるレーティングの枠はなく、前走の着順も順位に関係しません。
オープン馬でない馬の格上挑戦もできます。2016〜2025年の出走馬を前走で分けると、条件戦から来た馬(3勝クラスを勝ってオープンに上がった馬を含む)は阪神牝馬Sで132頭中20頭(15%)、福島牝馬Sで148頭中33頭(22%)。福島牝馬Sには、前走が2勝クラスの競走だった馬も7頭いました。
頭数が埋まりやすいのは福島牝馬Sで、10回のうち6回が16頭立てでした(2021年も出馬表は16頭で埋まりましたが、1頭の出走取消で15頭立て)。阪神牝馬Sは最も多い年でも16頭で、この10年に18頭がそろったことはありません。
| 前哨戦 | 出走頭数 | 出走馬の前走 |
|---|---|---|
| 阪神牝馬S | 平均13.2頭(2016〜2025年の10回・最多16頭) | 重賞67%・OP16%・条件戦15%・地方/海外2% |
| 福島牝馬S | 平均14.8頭(2016〜2025年の10回・最多16頭) | 重賞61%・OP13%・条件戦22%・地方/海外3% |
【データ】出走馬171頭と3着内30頭の前走
2016〜2025年の10回に出走した171頭を直前のレースで分けると(当サイト集計)、最も多いのは前哨戦に出て権利を逃した72頭(42%)でした。権利の有無は2026年の規定に当てはめた判定で、阪神牝馬S・福島牝馬Sの1着という形は2017年度から2026年度まで変わっていません。2016年は福島牝馬Sの勝ち馬マコトブリジャールが登録しておらず、一覧でGⅠ等優先と表示されたのは阪神牝馬Sの勝ち馬スマートレイアーだけでした。
3着内30頭の中でも、この組の11頭(37%)が最も大きな塊で、72頭の中での3着内率は15%でした。率が最も高かったのはその他の重賞から来た40頭で、3着内は10頭の25%ですが、全体の率なら7頭ほどで、差は3頭分です。前走G1級は33頭中7頭(21%)で、出走馬全体の率は171頭中30頭の18%です。
前哨戦を勝って権利を持っていた15頭は、3着内が2頭(13%)でした。2020年2着のサウンドキアラと2024年3着のマスクトディーヴァで、どちらも阪神牝馬Sの勝ち馬です。あと1頭入れば20%になる小さな集団です。前走が条件戦だった8頭と、リステッド・オープン特別からの3頭は、3着内に入っていません。前走で1着だった馬は3着内30頭のうち6頭(20%)で、出走馬全体の22%とほぼ同じ割合でした。
- 前哨戦で優先出走権を取った阪神牝馬S1着・福島牝馬S1着15頭9%
- 前哨戦から(権利なし)権利の着順に届かず、賞金などで出走72頭42%
- 前走G1級海外・地方のG1・JpnIを含む33頭19%
- その他の重賞から40頭23%
- リステッド・オープン特別から3頭2%
- 条件戦から1勝〜3勝クラス・新馬・未勝利8頭5%
- 前哨戦で優先出走権を取った阪神牝馬S1着・福島牝馬S1着2頭7%
- 前哨戦から(権利なし)権利の着順に届かず、賞金などで出走11頭37%
- 前走G1級海外・地方のG1・JpnIを含む7頭23%
- その他の重賞から10頭33%
阪神牝馬S組と福島牝馬S組 — 1着と2着以下
前哨戦から本番へ出た馬は、阪神牝馬S組が10年で68頭、福島牝馬S組が19頭でした。阪神牝馬S組は3着内30頭のうち12頭(40%)を占めますが、出走馬171頭に占める割合も68頭(40%)で同じです。3着内率も68頭中12頭の18%で、全体の率と変わりません。
その12頭のうち10頭は、阪神牝馬Sで2着以下だった馬です。2着からが4頭と最も多くなっています。本番の勝ち馬のうち4頭が阪神牝馬S組で、2017年のアドマイヤリード(2着)、2018年のジュールポレール(5着)、2024年のテンハッピーローズ(6着)、2016年のストレイトガール(9着)です。
福島牝馬S組の3着内は、2017年に4着から本番2着に入ったデンコウアンジュの1頭だけでした。権利を持って出た勝ち馬5頭は、いずれも3着内に届いていません。
福島牝馬Sの勝ち馬は11年で6頭が登録せず
JRAの出走馬決定順一覧によると、阪神牝馬Sの勝ち馬は2016〜2026年の毎年、本番に特別登録していました。福島牝馬Sの勝ち馬が登録したのは2017・2019・2021・2023・2025年だけで、2016年のマコトブリジャールから2026年のコガネノソラまで、残る6頭は登録していません。福島牝馬S組の権利持ちが10年で5頭にとどまるのは、このためです。
| 前哨戦・権利の着順 | 2016〜2025年の本番に出走(うち権利あり) | 3着内(うち権利あり) |
|---|---|---|
| 阪神牝馬S・1着 | 68(10) | 12(2) |
| 福島牝馬S・1着 | 19(5) | 1(0) |
勝ち馬10頭の前走と、決定順一覧での位置
2016〜2025年の勝ち馬10頭に、前哨戦を勝って権利を持っていた馬はいません。4頭は阪神牝馬Sで2〜9着に終わった馬、3頭は前走がG1(アーモンドアイの有馬記念、グランアレグリアの大阪杯、ソダシのフェブラリーS)。残る3頭は中山牝馬Sのノームコアと、海外の1351ターフスプリントから来たソングライン、アスコリピチェーノでした。2026年は阪神牝馬Sを勝ったエンブロイダリーが権利を持って出走し、本番も制しています。
一覧の最後尾から勝った2018年
特別登録時点の出走馬決定順一覧で見ると、2018年のジュールポレールは登録18頭の18番目(出走馬決定賞金3,000万円)で、登録がちょうど18頭だったため最後尾でも枠の内側にいました。2024年のテンハッピーローズは15頭中11番目、2019年のノームコアは19頭中12番目です。
権利のないステップ — 中山牝馬Sと愛知杯
JRAのヴィクトリアマイルのページは、主なステップに中山牝馬S(3月・中山)と愛知杯(3月・中京)も挙げていますが、どちらにも優先出走権はありません。中山牝馬S組は10年で14頭が出走し、ノームコアのほかランブリングアレー、フィアスプライド、シランケドの計4頭が3着内に入りました。いまの愛知杯は、2024年まで京都牝馬Sと呼ばれていたレースが改称され、中京の芝1400mへ移ったもの。1月に行われていた以前の愛知杯は、小倉牝馬Sに名前が変わっています。
| 年 | 勝ち馬 | 前走 | 前走の着順 |
|---|---|---|---|
| 2016年 | ストレイトガール | 阪神牝馬S | 9着 |
| 2017年 | アドマイヤリード | 阪神牝馬S | 2着 |
| 2018年 | ジュールポレール | 阪神牝馬S | 5着 |
| 2019年 | ノームコア | 中山牝馬S | 7着 |
| 2020年 | アーモンドアイ | 有馬記念 | 9着 |
| 2021年 | グランアレグリア | 大阪杯 | 4着 |
| 2022年 | ソダシ | フェブラリーS | 3着 |
| 2023年 | ソングライン | 1351ターフスプリント | 10着 |
| 2024年 | テンハッピーローズ | 阪神牝馬S | 6着 |
| 2025年 | アスコリピチェーノ | 1351ターフスプリント | 1着 |
地方所属馬・外国馬がヴィクトリアマイルに出るには
ヴィクトリアマイルは指定競走で、地方所属馬も出られます。2026年度に優先されるのは、同じ年度の阪神牝馬Sか福島牝馬Sで2着以内に入った馬と、約1年の期間内に中央の芝GⅠか外国のG1を勝った馬などです。中央の芝GⅠや外国G1で2着だった馬は、出走を申し込めても優先はされず、中央の馬と同じ並びの中で上位にいれば出られます。
高松宮記念と大阪杯の2着以内が地方馬のステップに入っていたのは2022年度までです。2023年度にこの2レースが外れ、芝GⅠ・外国G1の1着が加わったので、古い解説とは食い違います。
前哨戦に出る段階では、約1年の期間内に芝で中央の重賞2着以内や外国の重賞1着などの成績を持つ「芝実績馬」が優先されます。それ以外の地方馬も収得賞金1,600万円超なら申し込めますが、中央の馬と一緒に並べて上位にいる場合に限られます。ステップ競走として使えるのは、1つのGⅠにつき1レースだけです。
外国馬と、出られない馬
国際競走なので、外国調教馬は地方馬より先に枠が割り当てられます。2016〜2026年の出走馬決定順一覧を見た範囲では外国調教馬の登録はなく、「外」の記号が付いているのは2018年のリエノテソーロやラビットランなど、JRAの厩舎に所属する外国産馬です。出走資格が牝馬に限られるので、牡馬とせん馬は出られません。
よくある質問
ヴィクトリアマイルは何頭まで出られますか?
18頭までです。2016〜2025年は、18頭立ての年と15〜17頭にとどまった年がちょうど半分ずつでした。
阪神牝馬Sで2着だと優先出走権はありますか?
JRA所属馬にはありません。それでも2017年のアドマイヤリードは阪神牝馬S2着から出走し、本番を勝っています。2016〜2025年に阪神牝馬S組から本番の3着内に入った12頭のうち10頭は、阪神牝馬Sで2着以下だった馬です。地方所属馬なら2着でも優先されます。
中山牝馬Sや愛知杯を勝てば出られますか?
優先出走権は付きません。勝って加算された収得賞金は出走馬決定賞金にも入るので、賞金順の中で位置が上がる形です。
3歳の牝馬はヴィクトリアマイルに出られますか?
出られません。出走資格は4歳以上の牝馬です。3歳の牝馬には、ヴィクトリアマイルの翌週にオークスが組まれています。
- JRA所属馬の権利は阪神牝馬S・福島牝馬Sの1着だけ。地方所属馬は同じ2レースの2着まで優先される
- 3月の「愛知杯」は2024年までの京都牝馬Sで、優先出走権は付かない。1月に行われていた旧愛知杯は小倉牝馬Sに改称された
- 「3着内は阪神牝馬S組が最多」と見たら、出走馬に占める阪神牝馬S組の割合(同じく約4割)と並べて読む